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治療院雑話

withコロナ生活ことはじめ〜その②体の防御能力を上げる編〜

次にウィルスをはじめとした病原体に感染しない為の防御能力についてです。

 

知ってる!免疫のことでしょ?

 

抗体の話よね!

 

と思われた皆さん!!ちょっと待った!!!

 

実はいわゆる免疫が発動する前の防御機構が我々には備わっています。今回はそのお話です。

 

はじめに体の中と外という概念をおさらいしましょう。

我々の体は皮膚で覆われ外部環境に晒されている部分は硬い表皮細胞に覆われています。皆さんが日焼け後にピーッと剥くあれです。

またちょっと理解しにくいかもしれませんが、消化器(口から肛門まで)も外部環境と接しているところになります。人間を粘土の塊だと想像してみていただいて、真ん中に一本のホースが通っている、そんな構造だと思ってください。このホースを食べ物が通りながら粘膜を介して消化吸収が行われる仕組みになっています。なのでちょっと皮膚よりも物の出入りがしやすい粘膜に覆われているのです。

これら外部環境に接している面には常在菌と呼ばれる菌が生息しています。

この皮膚や粘膜で外部環境から体を守ると同時に、常在菌が棲みついていることによって、他の病原菌を排他しやすい環境を作り出しているとも言えます。

 

今回世間を騒がせているコロナウィルスは粘膜細胞のACE2受容体という細胞への入り口を介して体内(細胞内)に侵入します。その侵入経路は呼吸器、特に上気道(鼻〜喉頭)が多いと言われます。

上気道の入り口である鼻腔に侵入した大きな塵埃(ウィルスや細菌を包含する)は鼻毛によりとらえられます。そして鼻内への異物の侵入は鼻粘膜の三叉神経の知覚終末を刺激して、くしゃみ、鼻汁、鼻粘膜腫脹、声門閉鎖を引き起こし、下気道への異物の侵入を防ぐ防御反射として働きます。さらに小さい埃は線毛機能により除かれます。

鼻腔内の鼻粘膜上皮は表面を粘液層が覆っています。粘液層は呼吸上皮の線毛運動によって鼻腔後方へと搬送され粘液層に吸着された塵埃やガスの浄化に役立ちます。鼻咽腔へ落ちた異物は嚥下により消化管に排泄され処理されます。 副鼻腔粘膜にも同様な粘液層があり、その運動は副鼻腔の自然口へと向かいます。

これら一連の作用を物理的排除といい、今話題となっている免疫が働く前の防護機能です。

ですから、鼻毛を切りすぎてせっかくの防壁を壊してしまったり、水分摂取不足によって線毛運動が弱まったりすることのないようにすることが大切です。

また接触感染防止の観点からも鼻をほじったりしないことも大切ですね。

 

この物理的排除をすり抜けた細菌・ウィルスをいよいよ免疫機構が待ち構えることになります。

免疫機構には自然免疫と抗体免疫というものがあります。

鼻粘膜上皮に細菌やウィルスが付着しそうになったとき、局所で産生される分泌型IgAを中心とする特異的生体防御機能が鼻中における局所免疫です。鼻汁中の免疫グロブリンの約60%がIgAであり、中和作用や凝集作用によって細菌などが上皮表面に付着するのを防いでいます。これは自然免疫の一種です。

 

この時鼻中内に入り込んだ細菌やウィルス量が多ければ、アレルギー反応と同じようにくしゃみや鼻水が沢山出ることになるわけですね。この防御反応が早く始まるか否かも個人差があり、この作用が不十分であれば易々と細胞内への侵入を許してしまうことになるわけです。

もちろんこの段階では抗体は作られません。

 

次回は細胞侵入を許してしまった後に何が起こるのかについて書きたいと思います。